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産業ケアマネのトピック

家族の介護を職場で話せないのはなぜか。
産業ケアマネが見つめる“沈黙”の背景

2026/05/07
家族の介護を職場で話せないのはなぜか。産業ケアマネが見つめる“沈黙”の背景」を読み解く 株式会社DREAM SMART

家族の介護が始まったとき、すぐに会社へ相談できる人ばかりではありません。
むしろ現場では、「まだ大丈夫です」「自分で何とかします」と言いながら、ぎりぎりのところで踏ん張っている方のほうが多く見えます。

親の通院が増えた。
実家からの電話が増えた。
夜の呼び出しで眠れない。
それでも仕事は普段どおりにこなさないといけない。
そんな毎日が続くなかで、本人は介護のことを“相談するテーマ”として言葉にする前に、まず自分の中で飲み込んでしまいます。

産業ケアマネとして感じるのは、「話せない」の背景には、その人の性格だけでは片づけられない事情があるということです。
家庭のことを外に出しにくい文化
職場へ迷惑をかけたくない気持ち
制度を使ったあとの評価への不安
そして自分でも状況をうまく説明できない混乱。
いくつもの要因が重なって、沈黙は生まれます。

だからこそ企業の担当者や上司、人事、総務がまず知っておきたいのは、「相談がない=困っていない」ではないということです。
介護は見えにくく、しかも急に重くなります。
従業員本人が声を上げるのを待つだけでは、支援は間に合わないことがあります。

今回は、家族の介護を話せない理由を整理しながら、企業がどんな視点で従業員を支えればよいのか、そして介護離職を防ぐために産業ケアマネがどのような役割を果たせるのかを、現場目線でお伝えします。


1.家族の介護を相談できないのは「本人の弱さ」ではない

家族の介護について口にしづらいのは、決して珍しいことではありません。
親の認知症の兆候、通院の付き添い、入退院、介護サービスの調整、きょうだいとの役割分担、費用の不安。
どれもとても個人的で、しかも一言では説明しにくい内容です。

特に日本では、家族の問題を外に出さないほうがよいという感覚がまだ強く残っています。
相談したら心配をかける、迷惑をかける、家庭の事情をさらすことになる。
そう思えば思うほど、口は重くなります。
本人の中では「まだ自分で抱えたほうがまし」という判断が起きやすくなります。

さらに介護は、病気やけがと違って、状況が日々変わります。
昨日は食事が取れていたのに、今日は転倒した。
先週は一人でトイレに行けたのに、今週は付き添いが必要になった。
こうした変化の連続のなかでは、本人自身も状況を整理できていません。
そのため、「何を、どこまで、どう話せばいいのか分からない」という状態になりやすいのです。

この“言葉にならなさ”は、支援の現場ではとてもよく見られます。
だから企業側は、きれいに整理された説明を最初から求めすぎないことが大切です。
うまく話せないのは困っていないからではなく、むしろ困りごとが多すぎるからです。
ここを取り違えないことが、最初の支援になります。


2.職場で介護の話が止まる本当の理由――評価不安と遠慮の壁

従業員が介護を相談できない理由として、職場側の空気はとても大きな影響を持ちます。
制度があることと、使いやすいことは別です。
介護休業や介護休暇、時差出勤、短時間勤務などの制度が社内に整っていても、「使ったら評価に響くのではないか」と感じていれば、実際には動けません。

現場でよく聞くのは、
「チームに迷惑をかけたくない」
「仕事を任せてもらえなくなるのが怖い」
「大変な人だと思われたくない」
という声です。

特に責任ある立場の人ほど、弱音を見せにくくなります。
部下を抱える管理職や、代わりの利きにくい専門職ほど、介護の悩みを後回しにしやすい傾向があります。

また、介護は周囲が想像しにくいテーマでもあります。
育児は比較的イメージされやすい一方で、介護は経験のない人にとって実感が持ちにくいものです。
「大変だね」と言われても、本人にはその一言が軽く感じられることがあります。
以前に理解されなかった経験があると、次はもう話さないという選択につながります。

2025年4月からは、改正育児・介護休業法により、企業に対して介護離職防止のための雇用環境整備が義務化されました。
具体的には、研修の実施、相談窓口の整備、利用事例の収集・提供、制度利用促進方針の周知のいずれかが必要とされています。
加えて、40歳時点での制度情報提供や、介護に直面した従業員への個別周知・意向確認も求められています。

つまり今は、「制度があります」で終わる時代ではなく、「相談しやすく、使いやすくする責任」が企業側に明確に求められている段階に入っています。


3.介護のサインは言葉より先に出る――企業担当者が見逃したくない変化

介護を抱えている人は、必ずしも自分から「親の介護で困っています」とは言いません。ただ、その前段階で小さなサインが出ていることは少なくありません。

たとえば、
遅刻や早退が少しずつ増える。
昼休みに実家や病院へ電話をすることが増える。
急な有休取得が続く。
表情が固くなる
。雑談が減る。
以前より集中が切れているように見える。

こうした変化は、仕事への意欲の低下ではなく、生活の土台が揺れているサインかもしれません。

特に注意したいのは、「大丈夫です」を何度も繰り返す人です。
本当に問題がない人もいますが、支援が必要な人ほど、周囲に気を遣ってそう答えることがあります。
ここで企業側が「本人が大丈夫と言っているから」で終わらせると、支援の入り口を逃してしまいます。

家族介護をしながら働く人は、すでに364.6万人にのぼり、家族の介護や看護を理由に離職した人も直近で約10万6千人とされています。
しかも男性比率は上昇傾向にあり、介護はもはや一部の女性従業員だけの問題ではありません。
年齢、性別、役職を問わず、どの職場でも起こりうる経営課題として見ていく必要があります。

だからこそ、企業担当者や管理職に必要なのは、踏み込みすぎず、放置もしない関わり方です。
「最近どうしたの」
「家庭のことを話して」
と迫るのではなく、
「仕事と生活の両立で負担が増えていないですか」
「何か調整できることはありますか」と、本人の負担感に焦点を当てて声をかける。
この聞き方だけでも、受け取られ方は大きく変わります。


4.介護離職を防ぐために、産業ケアマネが企業にできること

介護は短期で終わるとは限りません。
むしろ長く続くからこそ、初期対応がその後の働き方を左右します。
限界が来てから休む、辞めるではなく、その前に相談できる流れをつくることが何より重要です。

産業ケアマネの役割は、介護の制度説明だけではありません。
本人の状況を整理し、仕事と生活の両方を見ながら、どこに負担が集中しているのかを一緒に確認すること。
必要に応じて、社内制度の使い方、介護保険サービスの利用、家族との役割分担、外部相談先への接続まで含めて支援していくことにあります。

企業側にとっても、産業ケアマネが入る意味は大きいです。
人事や上司には話しにくい内容でも、第三者には話せることがあります。
家庭の詳細を無理に社内共有しなくても、本人の就業継続に必要な配慮を整理しやすくなります。
結果として、離職防止だけでなく、欠勤の長期化やパフォーマンス低下の予防にもつながります。

介護の相談支援で大切なのは、「何かあれば言ってください」だけで終わらせないことです。
相談先を見える場所に置くこと、制度の説明を平易な言葉で伝えること、利用事例を共有して“使ってもよいもの”だと伝えること。
こうした積み重ねが、沈黙をやわらげます。

家族の介護を話せない人を責めるのではなく、話しにくい背景を理解して、話せる場を整える。
それが、これからの企業に求められる両立支援です。
そしてその実務を、現場感を持って支えられる存在が産業ケアマネです。

介護離職を防ぎたい、従業員が安心して働ける職場をつくりたい。
そう考える企業にこそ、早い段階での導入と連携をおすすめします。

詳しくは、弊社の公式サイトよりご確認ください。
👉 産業ケアマネ公式サイト

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